日本沈没 第二部 読後感
日本沈没。
超有名な小松左京原作のSF小説だ。
この小説の一番最後に、
「第一部・完」とある。
何故?
小松左京氏は、
元々日本沈没で国土を失った日本人が、
漂流民族として世界中に散り散りになった後、
どのように日本という国を維持し、日本を再興していくのか、
というところまでを書こうとしていたのだった。
33年の歳月
第一部の『日本沈没』が発売されたのは1973年3月、
第二部が発売されたのは2006年7月というから
実に、33年。
その間、1997年には阪神淡路大震災が起こり
小松左京氏自身も被災者となるなど、
紆余曲折を経て、しかも谷甲州氏との共著で世に出されたのが
『日本沈没 第二部』だ。
*このあたりの経緯は第二部のあとがきで、
小松左京氏自身が回想している。
読後感
ようやく読了した第二部の感想は、
「もうすこしいろんな伏線を回収してほしかったなあ」
「日本人に地球にいてほしかったなあ」
ということ。
もし、第二部が谷甲州氏を始めとするプロジェクトチームとの共著
という形をとっていなかったら、
エンディングは変わっていたのではないだろうか。
宇宙船「蒼龍」に乗って日本人が地球を後にしながら
「君が代」を唄うという最期は、
日本人が新しい旅立ちをしたというより
地球にいられなくなった
という感が強く残り残念だった。
第一部で離れ離れになってしまった
小野寺俊夫と阿部玲子も再会はできたがきちんと決着がついていない。
発想・構想はさすがにすごい
とはいえ、
領土を失った日本人が、領土の再興のために
旧日本領海の上にメガフロート(超巨大なブロックのようなもの)を
浮かべようとしたことや
全地球の気象が把握できる「気象シミュレーター」を開発した
ことは正にSF的な発想で、
小松左京氏らしく科学的な検証も十分に行われている
と思わせるものだった。
では。
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